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LANケーブルの規格を徹底比較|カテゴリ・種類から同軸ケーブルとの違いまで解説 

    パソコンやルーターを繋ぐLANケーブルは、「規格(カテゴリ)」によって通信速度が大きく変わります。また、ノイズの影響を防ぐ「シールド」の有無や、配線しやすい「形状」の違いなど、種類は多岐にわたります。

    さらに、テレビアンテナ線などで使われる「同軸ケーブル」とも違いがあります。この記事では、LANケーブルの規格や種類、そして同軸ケーブルとの違いを分かりやすく解説します。最適なケーブルを選び、快適なネットワーク環境を整えましょう。

    LANケーブルの規格

    LANケーブルの規格には通信速度や周波数帯域など、安定したデータ転送を行うための重要な基準が含まれています。さまざまな種類が存在し、それぞれ最大速度や推奨使用環境が異なります。

    まずは、LANケーブルの規格について解説します。

    LANケーブルの規格とは

    LANケーブルの規格は、通信速度や対応周波数、そして内部構造といった複数の要素から定められています。

    具体的には、Cat5やCat5eのようなカテゴリごとに、最大通信速度と周波数帯域の上限が明確化されています。

    例えば、Cat5eであれば1Gbps、Cat6であれば1Gbps〜10Gbps(環境による)といったように、種類によって転送速度の目安が異なります。これらの規格は国際標準化機構(ISO)や電子工業規格(IEC)などが策定・管理しており、国際的な統一規格として活用されています。

    したがって、カテゴリ表記が同じケーブルであれば世界中どこでも基本的な性能は共通です。

    代表的なLANケーブル規格をまとめました。比較時の目安として活用してください。

    規格名最大通信速度周波数帯域最大伝送距離(推奨)特徴
    Cat5100Mbps100MHz100m程度古い世代。現行では非推奨
    Cat5e1Gbps100MHz100m程度Cat5を改良。最も普及している
    Cat61Gbps250MHz100m程度ノイズへの耐性が高い
    Cat6A10Gbps500MHz100m程度Cat6の上位。高速通信対応
    Cat710Gbps600MHz以上100m程度シールド構造が標準装備
    Cat7A10Gbps以上1000MHz程度100m程度Cat7より高周波数に対応
    Cat825~40Gbps2000MHz程度30m程度最高水準。データセンター向け

    規格とプロトコルの関係

    LANケーブルが利用する通信プロトコルの性能は、実際の通信速度を左右する大きな要因です。プロトコルとはデータ伝送の手順や形式を決めた取り決めのことで、代表的なものにEthernet(イーサネット)などが挙げられます。

    このEthernet規格でも、10BASE-Tや100BASE-TX、1000BASE-Tなどの種類によって最大伝送速度が異なるため、ケーブルの物理的な性能だけではなく、選ぶプロトコルが通信の上限を決めるケースもあります。

    一方で、高速なプロトコルを使うにはそれを支える高いカテゴリのケーブルが必要になります。つまり、規格の高いケーブルと高性能な通信プロトコルを組み合わせることで、理論上の速度を最大限引き出せます。

    LANケーブルの種類(シールド)

    LANケーブルには外部からの電磁波を防ぐためのシールド加工が施されたものと、そうでないものがあります。

    ここでは、シールドなしのUTPケーブルと、シールド付きのSTPケーブルについて解説します。

    UTPケーブル

    STPケーブルは「Shielded Twisted Pair」の略称です。撚り線を金属箔などで覆うシールド層が追加されており、外部ノイズの影響を低減する効果が期待できます。

    そのため、電磁波が多い工場やサーバールームなどでの利用に適しています。ただし、一般的なUTPケーブルに比べてやや高価になりやすく、ケーブル自体も硬めとなっているため配線作業のハードルが高まる場合があります。

    さらに、シールド同士を確実にアースに接続しなければ十分な効果が得られません。現場によっては接地工事や専用コネクタが必要になるため、導入の際は環境やコスト面を踏まえた慎重な選定が求められます。

    LANケーブルの種類(形状)

    LANケーブルの形状には太さや断面構造の違いがあり、設置場所や配線ルートに合わせて最適なものを選ぶ必要があります。

    ここでは、代表的なLANケーブルの形状について、それぞれの特徴を紹介します。

    • スタンダードケーブル
    • スリムケーブル
    • フラットケーブル

    スタンダードケーブル

    スタンダードケーブルは一般的な太さのLANケーブルを指し、最も広く普及しています。

    内部には撚り合わされたペア線が入っており、家庭からオフィスまで幅広い環境で使われています。

    太めのケーブルは物理的に頑丈で、頻繁に抜き差ししたりケーブルが足に引っ掛かったりといった状況でも断線しにくい特徴があります。

    一方、束ねると多少かさばるため、狭い場所や壁の隙間に通す際は注意が必要です。ただしケーブル長が短い場合であれば、収納の負担も大きくないので配線の基本として最適といえるでしょう。

    スリムケーブル

    フラットケーブルは断面が平らで、薄く広い形状となっています。ドアや窓の隙間を通す際に目立たず、場所を取らない利点があります。床や壁に貼り付けるように敷設しても段差ができにくく、インテリアを損ねにくい点も魅力です。

    ただし、ケーブルを大きく曲げると導体が断裂しやすいため、配線途中の急な折り曲げは避けたほうが無難といえます。また、フラット構造ゆえにノイズ対策が弱めの製品もあり、高速通信を安定的に維持するには、使う場所や取り扱いに気を配る必要があります。

    それらを考慮できれば、ケーブルを目立たせたくない場面で非常に役立つ形状です。

    LANケーブルと同軸ケーブルの規格の違い

    コンピューターネットワークでよく使われるLANケーブルと、テレビアンテナの接続などに使われる同軸ケーブルは、見た目が似ていることがありますが、その構造や用途は大きく異なります。

    これらのケーブルは、それぞれ異なる目的のために設計されており、電気的な特性や信号の伝達方式にも違いがあります。

    ここでは、LANケーブルと同軸ケーブルの規格や特性の違いについて解説します。

    • ケーブル構造の違い
    • 規格・信号伝達方式の違い
    • 性能・用途の違い

    ケーブル構造の違い

    LANケーブルは内部が撚り合わされた対線で構成されていますが、同軸ケーブルは中心導体と外部導体(編組シールドや金属箔)を同軸状に配置します。

    LANケーブルの場合、外部ノイズに強くするため撚り対構造が利用され、UTPやSTPのようにシールドの有無によって更なる対策が施される場合があります。同軸ケーブルでは、中心導体と外部導体の間に絶縁体を入れることで高周波の信号を効率よく伝送します。

    また、同軸ケーブルは物理的に硬く、曲げに弱い場合が多いため、柔軟性を求める配線作業ではLANケーブルのほうが扱いやすいことが多いです。

    規格・信号伝達方式の違い

    LANケーブルは主にEthernetなどのデジタル通信プロトコルに最適化されています。一方、同軸ケーブルはテレビ放送や無線通信、映像伝送など幅広い分野でアナログ・デジタルの両方の信号伝送に利用されます。

    さらに、同軸ケーブルには50Ωや75Ωなどインピーダンスが規定されていて、用途に合わせて選ばれます。LANケーブルでは、それぞれのカテゴリ(Cat5eやCat6など)がEthernet規格の通信速度や周波数帯を支えるための基準を示しています。

    同軸ケーブルの規格は、中心導体の太さや絶縁体の材質、外部導体の構造などによって特性が変わる点が特徴といえます。

    性能・用途の違い

    LANケーブルは最大通信速度が1Gbpsや10Gbpsといった高速化を続けてきましたが、同軸ケーブルは映像伝送や高周波通信などに強みがあります。

    例えばテレビ放送やケーブルテレビの配線では、長距離伝送でも減衰が少なく、安定した品質で映像を伝送できる同軸ケーブルが今も主流です。一方、LANケーブルは家庭内ネットワークから大規模データセンターまで、デジタル通信を高速かつ柔軟に行いたい場面で多用されます。

    こうした使い分けは、それぞれのケーブルが想定される周波数帯や信号形式、そして構造上の特性から生まれています。運用環境と必要な帯域幅を考慮しながら、最適なケーブルを選ぶことが重要になります。

    まとめ

    この記事では、快適なインターネット環境に不可欠なLANケーブルの規格について、基本を解説しました。

    利用環境や予算、ノイズの有無などを考慮し、性能や取り回しやすさ、配線のしやすさを踏まえて選ぶことが重要です。その結果、ネットワークの速度や安定性が向上します。

    これらの情報を踏まえ、自身の利用環境や目的に最適なケーブルを選び、より安定した高速通信を実現させていきましょう。

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