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同軸ケーブルコネクタの種類と選び方のポイント

    同軸ケーブルのコネクタは、さまざまなシーンで使用されますが、適切なコネクタを選ぶことが重要です。

    本記事では、主な同軸ケーブルコネクタの種類を紹介し、それぞれの特徴や用途、選ぶ際のポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。

    同軸ケーブルコネクタの基本知識

    同軸ケーブルコネクタは、通信や映像機器での接続に欠かせない重要な部品です。正しい選び方や取り扱い方を知ることで、接続不良や信号の損失を防ぐことができます。

    ここでは、同軸ケーブルやコネクタについての基本知識を解説します。

    同軸ケーブルとは

    同軸ケーブルは、高周波信号を効率よく伝送するために設計された特殊なケーブルです。構造は中心導体、絶縁体、外部導体(シールド)、および外側の被覆層から成り立っています。この構造により、外部からの電磁干渉を防ぎ、信号の損失を最小限に抑えることが可能です。

    同軸ケーブルは、テレビアンテナ接続やケーブルテレビ、インターネット回線、無線通信機器など、さまざまな用途で使用されています。特に高周波信号の伝送に優れているため、品質の高い音声や映像信号を長距離にわたって伝送する際に重宝されます。また、比較的柔軟性があるため、複雑な配線経路にも対応できる点も大きな特徴です。

    同軸コネクタとは

    同軸コネクタは、同軸ケーブル専用に設計された接続部品です。主に無線通信や放送、ネットワーク、電子計測機器などで使用される同軸ケーブルは、用途によってさまざまな種類が存在します。

    各ケーブルに適合する同軸コネクタが必要なため、ケーブルの種類ごとに対応するコネクタが用意されています。そのため、同軸コネクタは、使用する同軸ケーブルに適したものを選ぶことが重要です。

    接続時には、接続元と接続先で異なるタイプの同軸コネクタが2つ必要です。また、ケーブル同士を接続する場合と、ケーブルを機器のパネルやプリント基板に接続する場合では、使用する同軸コネクタの種類も異なります。製品によっては、ケーブルの接続方法がはんだ付けや圧着に分かれるため、さらに多様な選択肢があるのが特徴です。

    同軸コネクタにはさまざまな種類があり、用途や周波数帯域、環境条件によって適したものが選ばれます。コネクタは、それぞれ特定の周波数範囲や用途に最適化されており、信号の品質を維持しつつ、簡単に着脱できるように設計されています。適切なコネクタを選ぶことで、信号の品質を保ち、システム全体の性能を最大限に引き出せるでしょう。

    同軸コネクタの種類

    ここでは、以下の代表的なコネクタの種類とその特徴について解説します。

    • BNC型
    • N型
    • TNC型
    • SMA型
    • SMB型

    各コネクタの形状、特性、一般的な使用範囲などを紹介するので、コネクタ選びの際の参考にしてください。

    BNC型

    BNC(Bayonet Neill-Concelman)型コネクタは、もっとも広く使用されている同軸コネクタです。このコネクタは、簡単に接続・切断ができるバヨネット式のロック機構が特徴です。接続時に回転させてロックするため、振動や衝撃による外れを防ぐことができます。

    BNC型コネクタは、幅広い周波数帯域に対応しており、理論上は4GHzまで使用可能です。しかし、実際の使用では主に1GHz以下の周波数帯域で利用されることが多く、その信頼性と使いやすさから、テレビ放送機器、オシロスコープ、ネットワーク機器など、さまざまな分野で広く採用されています。

    また、比較的安価で取り扱いやすいため、一般的な電子機器やテスト機器でよく見かけるコネクタです。ただし、高周波領域での性能は他の専用コネクタに劣る場合があります。

    結合方式バヨネットロック方式
    特性インピーダンス50Ω、75Ω
    使用周波数範囲4GHz以下
    定格電圧500V(実効値)以下

    N型

    N型コネクタは、高周波用途向けに設計された耐久性の高いコネクタです。ねじ込み式の接続方式を採用しており、確実な接続と優れた電気的特性を持っています。通常は10GHzまでの周波数帯で使用されますが、場合によってはそれ以上の周波数でも使用可能です。

    N型コネクタは、無線通信機器、アンテナ、測定器など、高周波信号を扱う機器で広く使用されています。特に、屋外や厳しい環境下での使用に適しており、耐候性や耐久性に優れています。サイズが比較的大きいため、小型機器には不向きですが、安定した電気的性能と信頼性の高さが特徴です。

    結合方式ネジ 5/8-24UNEF-2A, 2B
    特性インピーダンス50Ω、75Ω
    使用周波数範囲10GHz以下
    定格電圧500V(実効値)以下

    TNC型

    TNC(Threaded Neill-Concelman)型コネクタは、BNC型のねじ込み式バージョンともいえるコネクタです。BNC型の簡便さとN型の確実性を兼ね備えたコネクタとして設計されました。主に4GHzまでの周波数帯域で使用され、振動や衝撃の多い環境下でも安定した接続を維持できます。

    TNC型コネクタは、移動体通信機器、航空機器、軍事用機器など、高い信頼性が求められる分野で多く使用されています。BNC型よりも高周波領域での性能が優れており、より確実な接続が必要な場合に選択されます。ただし、接続・切断にはBNC型よりも時間がかかるため、頻繁に着脱する必要がある場合は注意しましょう。

    結合方式ネジ 7/16-28UNEF-2A, 2B
    特性インピーダンス50Ω
    使用周波数範囲4GHz以下
    定格電圧500V(実効値)以下

    SMA型

    SMA(SubMiniature version A)型コネクタは、小型で高性能な同軸コネクタです。一般的に18GHzまでの周波数帯域で使用でき、高周波回路や精密機器に適しています。中には25GHzまで使用可能な製品も存在します。ねじ込み式の接続方式を採用しており、小さいながらも確実な接続を実現しているのが特徴です。

    SMA型コネクタは、無線LANアンテナ、携帯電話、衛星通信機器、テスト・計測機器など、幅広い用途で使用されています。小型であるため、スペースが限られた機器や回路基板上での使用に適しています。ただし、小型であるがゆえに過度な力をかけると破損する可能性があるので、取り扱いには注意が必要です。

    結合方式ネジ 1/4-36UNS-2A, 2B
    特性インピーダンス50Ω
    使用周波数範囲18GHz以下
    定格電圧335~500V(実効値)以下

    SMB型

    SMB(SubMiniature version B)型コネクタは、SMA型よりもさらに小型化された同軸コネクタです。主に4GHzまでの周波数帯域で使用され、迅速な着脱が可能なスナップオン式の接続方式を採用しているのが特徴です。小型で軽量なため、スペースや重量の制約が厳しい機器に向いています。

    SMB型コネクタは、モバイル機器、自動車用電子機器、産業用機器など、小型化が求められる分野で多く使用されています。スナップオン式のため、素早い接続・切断が可能ですが、その分、強い衝撃や振動に対しては、他のねじ込み式コネクタよりも弱い面があります。使用環境や条件に応じて、適切に選択する必要があるでしょう。

    結合方式スナップオン方式
    特性インピーダンス50Ω
    使用周波数範囲4GHz以下
    定格電圧500V(実効値)以下

    同軸コネクタの最適周波数

    同軸コネクタは、使用する周波数帯によって適切なものを選ぶ必要があります。各コネクタには対応できる周波数範囲があり、これを超えると信号の損失や劣化が生じる可能性があるので注意が必要です。一般的に、コネクタのサイズが小さくなるほど、高い周波数まで対応できる傾向にあります。適切なコネクタを選定するには、仕様や使用環境をしっかり確認することが重要です。

    前章で紹介したとおり、高周波数帯に対応するSMA型やN型コネクタは、特に無線通信やレーダーなどの高精度が求められる用途に向いています。一方、BNC型やTNC型は低~中周波数帯で安定した接続を実現できるため、テレビや映像機器で広く使われています。ただし、実際の使用環境や要求される性能によって、適切な周波数範囲は変わってくることも覚えておきましょう。

    同軸コネクタの接続方法

    同軸コネクタの接続方法は、コネクタの種類によって異なります。正しい接続方法を理解し適切に実施することで、信号の品質を維持し、機器の性能を最大限に引き出すことが可能です。ここでは、一般的な接続方法について説明します。

    ねじ込み式のコネクタ(N型、SMA型など)は、オス側とメス側を合わせ、ねじ部分をしっかりと締め付けて接続します。この際、適切なトルクで締め付けることが重要で、過度な力をかけると破損の原因となるため注意しましょう。

    バヨネット方式のBNC型コネクタは、オス側をメス側に挿入し、約90度回転させてロックします。この方式は素早い着脱が可能ですが、確実にロックされていることを確認する必要があります。SMB型などのスナップオン式コネクタは、まっすぐ押し込むだけで接続可能です。ただし、簡単に接続できる反面、不用意に引っ張ると外れやすいので注意が必要です。

    いずれの場合も、接続前にコネクタの状態を確認し、必要に応じて清掃することも大切です。また、ケーブルに無理な力がかからないよう、適切な配線経路を確保することも忘れないようにしましょう。

    同軸コネクタの選び方

    適切な同軸コネクタを選ぶことで、信号の安定性や接続の信頼性が大きく向上します。コネクタを選ぶ際に押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

    • 周波数帯域
    • インピーダンス
    • 環境条件
    • サイズと重量
    • 接続頻度
    • 電気的性能
    • コスト
    • 規格適合性

    周波数帯域:使用する周波数帯に対応したコネクタを選びましょう。高周波になるほど、より高性能なコネクタが必要です。高周波数を扱う場合は、SMA型やN型などのコネクタが適しています。

    インピーダンス:ケーブルとコネクタのインピーダンスを合わせることが重要です。一般的に50Ωか75Ωのいずれかを選択します。

    環境条件:屋外や防水が求められる場所では、耐久性のあるN型コネクタがおすすめです。また、軽量でコンパクトなものが求められる場合は、SMB型のような小型コネクタが適しています。

    サイズと重量:機器のスペースや重量制限に応じて、適切なサイズのコネクタを選択します。

    接続頻度:頻繁に着脱する必要がある場合は、バヨネット方式やスナップオン方式のコネクタが便利です。

    電気的性能:挿入損失、反射損失、耐電力性など、必要な電気的特性を満たすコネクタを選びます。

    コスト:価格と性能のバランスも考慮する必要があります。高性能なコネクタは一般的に価格が高くなりますが、使用用途に適したコストパフォーマンスの良い製品を選びましょう。

    規格適合性:使用する機器や業界標準に適合したコネクタを選択することも重要です。

    これらの要素を総合的に考慮し、自分の使用目的に合った同軸コネクタを選びましょう。

    まとめ

    同軸ケーブルコネクタは、高周波信号の伝送で重要な役割を果たす部品です。同軸コネクタにはBNC型、N型、TNC型、SMA型、SMB型といったさまざまな種類があり、それぞれの用途や対応周波数に応じて最適なものを選ぶことが重要です。

    機器の特性や使用環境に応じて最適なコネクタを選択し、適切に取り扱うことで、高品質な信号伝送と信頼性の高いシステム構築が可能となります。同軸ケーブルコネクタについて理解を深めることは、電子機器や通信システムの効果的な運用に大いに役立つでしょう。

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